将来の不安を無くす、家計版バランスシートを作成する方法。

月々の収入と支出を上手くやりくりして利益を生み出す家計管理を行っている人は多い。しかし、長期的な目線で自分の資産を管理できている人はあまりいない。

人生100年時代と呼ばれるこの時代において、どのような未来が待っているかは分からない。不確実性の高い未来を見据えて備えるためには、家計についても長期的な目線で管理することが必要だ。

今回は「家計を長期的に管理」するために、「自分」株式会社を設立し家計簿に加えてバランスシートを作成することを提案したい。これを実行することで、お金持ちに近づくこともできる。

1.「自分」株式会社を設立しよう。

自分株式会社の画像

冒頭でも述べたが、今後の未来は何が起こるか分からない。

起こりそうなことはある程度予測できるかもしれないが(参考記事)、もしかしたら核戦争が勃発するかもしれないし日本という国が破産に追い込まれるかもしれない。そんな大惨事が起きたらもはや致命的ではあるが、大規模災害や大規模な経済混乱は十分に起こりえる。そんな事が起きた時、自分はそれに耐えうる家計・資産管理ができるだろうか。

不規則な事態になんの用意もしていなければ、あたなは確実に破産へと追い込まれる。すなわち貧乏に陥り、最悪の場合は生きていく力を失うことになる。

それに備えるためにも、「自分」株式会社を設立してみよう。

自分株式会社の財務諸表

株式会社は当たり前のように管理している貸借対照表(BS/バランスシート)と損益計算書(PL)。これを自分自身に適用するのである。

これらを作成・管理することで、あなたは以下のようなメリットを得ることができる。

「自分」株式会社を設立するメリット
  • 自分の資産状況を把握することができる
  • 自分の資産価値を最大化することができる
  • 自分が直面するリスクを最小化することができる

厳密に言えば、設立するだけで全てが叶うわけではない。最終的には自分で検討し、意思決定をする必要があるからだ。これらは検討・意思決定を助けるための非常に効率的で優秀なツールなのである。

企業はこれを、経営層が実施している。経理やその代表であるCFO(最高財務責任者)が主役であり、普通の社員は気にしていないかもしれない。

しかし家計の場合は、あなた自身がCFOになる必要がある。結婚や育児、あるいは住宅の購入など来るライフイベントに備え、自分の資産・管理状況を把握し長期的な目線で運用する必要がある。そのためには「自分」株式会社を設立することが望ましいと言える。

2.お金持ちになる方法

あなたは、できればお金持ちになって経済的自由を獲得したいと考えているだろう。

実は「自分」株式会社は、自分がお金持ちになるための必須のツールと言っても過言ではない。

一般的に考えると、自分がお金持ちになるには以下3点が必要になる。

お金持ちになるために必要な行動
  1. 支出をできるだけ下げる
  2. 収入を増やす
  3. 資産運用する

支出と収入のコントロールは損益計算書、すなわち家計簿をつければ誰でもコントロールができるようになる。特に最初に始めるべきは「支出の削減」で、これができないと貧乏体質から逃れることはできない。

「支出の削減」には節約が最も効率がよく、「収入の増加」は転職して給料を上げたり不労所得を獲得するなどがある。こちらについてはそれぞれ「節約大全」、「お金持ちになる講座」を購読頂ければと思う。

一方で、貸借対照表(バランスシート)の管理、すなわち「資産運用」を実施できている人はあまりいないのではないだろうか。これを実行することで長期視点で物事を考えられるし、損益計算書を作る(支出・収入の管理)の意味合いがさらに増してくることになる。

3.家計版バランスシートの作り方

貸借対照表(バランスシート)を作ることで、あなたの現在価値や将来価値の推移を客観的に見定めることができる。

ここではその貸借対照表について、種類と作り方を解説していく。

バランスシートは「資産」「負債」「純資産(自己資本)」の3つに分類していくことになる。それぞれ見ていこう。

①資産

そもそも「あなたの資産」は何が挙げられるだろうか。多くの人への朗報となるだろうが、実は資産とはお金に関連するものだけが全てではない。お金は資産を作る一部分であり、全てではない。

資産の種類は3つであることを表した画像

資産の種類は主に「金融資産」「人的資本」「社会資本」の3つに分類される。

※書籍によっては「金融資産」と「人的資本」の2つだけだったり、「時間資本」が加わったりと多々あるが、ここでは筆者が分かりやすいと判断した3区分を採用した。

金融資産

資産と聞いて最も思いつくのは、ご存じの通りお金すなわち「金融資産」である。

主に以下のような種類がある。

金融資産の種類
  • 銀行預金(普通口座、定期口座)
  • 国債・債券
  • 小切手
  • 株式
  • 投資信託
  • 確定拠出年金
  • 生命保険の解約返戻金
  • 退職口座

また金融資産ではないものの、所有することで価値を持つ非金融資産も存在する。代表的なのは以下だろう。

非金融資産の種類
  • 住居
  • その他住居(別荘など)
  • 不動産

これらを棚卸しし、実際に自分がどれだけの金融資産を持っていて、それぞれどのくらいの比率なのかを洗い出してみると良い。

一般的には若者ほど金融資産は少なく、全体の比率も少ない。これは当然のことなので貯金が少ないからと言って落ち込む必要はない。

人的資本

続いて人的資本である。

会計の世界では主にお金に関連するものだけが登場するため、お金(金融資産)が資産の全てと思い込んでしまう。ただし個人の資産となっては話が変わってくる。

若い人ほど最も大きな資産となるのが、この人的資本である。金融資産が少なくても落ち込む必要が無いのは、その分人的資本を蓄えているからである。

人的資本については以下のようなものがある。

人的資本の種類
  • 年齢(時間)
  • 学歴
  • 資格
  • 実績・経験
  • 地位
  • 稼ぐ力

一般的に、あなたの人的資本は30代前半頃までに作り上げられる。

特に学生や新社会人によく求められる学歴や難関資格はあなたの人的資本を高め、価値を大幅に増大させる。投資額は非常に高く、これは生まれの環境によって左右されてしまうが、リターンは非常に大きい。リターンの大きさは、学歴社会である現状の様子をみれば分かるだろう。

また、若い人に向けての「たくさんの経験をしろ」や「実績を作れ」というアドバイスも、人的資本を形成するためのアドバイスであり理にかなっている。これも、転職市場や出世する人を観察すれば分かる。

人的資本を金融資産へと変換する画像

これら、蓄えてきた人的資本を、労働や起業、あるいは時間(年齢)を使って徐々に金融資産に変換していくことが人生の流れになる。

人的資本が少ない分金融資産の取り分も減ってくるため、若いうちはとにかく人的資本の形成に力を入れることが将来を占うポイントになってくる。

人的資本を金融資産へ変換することをグラフ化した画像

グラフに表すと上図のようになる。

人的資本を金融資産へ変えていくことで、人的資本は年齢と共に低下し、退職と共に限りなくゼロに近づく。対して金融資産は退職時にマックスになる。

退職時の金融資産を予め想定できれば、自分がいつまで働かなくてはならないのかが検討できる。これからは更に長寿化が進み、長生きすることがリスクになる。金融資産が死ぬまで無くなってしまうのは危険だからだ。

日本においては「正社員」という身分を勝ち取ることで、「生涯年収」を用いてある程度の推測が可能になる。一般的な大起業であれば、2億〜4億程度だろうか。逆に非正規雇用だと算出が難しく、やはり若い時の人的資本の増強が将来を左右することになってしまう。残酷だがこの現状は受け入れるしか無い。

ただし「正社員」であろうが、その分リスクは大きい。今の時代「終身雇用」は無くなり、これからの30〜40年における企業の存続なんて誰も想像できないからだ。例えば何かしらの惨事によりあなたが解雇されてしまえば、途端に大幅な人的資本を失うことになる。つまり金融資産に変換する源泉が消える。これほど恐ろしいリスクは無いだろう。

社会資本

社会資本とは家族や友人など、社会的な繋がりのこと。これらを資産を捉えて活用することで多くの利益を得られるだろう。

社会資本に関するものは主に以下が挙げられる。

社会資本の種類
  • 人格
  • 信用・信頼
  • 人脈
  • 社会・ネットワーク

逆に社会的資本を失うとその損失は大きい。そのネットワークから排除されてしまうため、途端に自分の居場所が失われてしまう。

いじめや社会的孤立などにより、たちまち貧乏に転落してしまう人がいる。金融資産も人的資本も少なく、友人やネットワークを頼りに生きている人々のことである(例えばヤンキーなど)。こうなると貧乏だけでなく、自らの幸福も奪われてしまうため、打撃が大きい。

犯罪や不倫を犯して信用を失った芸能人は数多いだろう。あのような事例は、まさに社会資本の損失の典型である。

これを数値化するのは非常に難しい。自分が信用できる人間か、友人や家族の関係はうまくいっているか、などだろうか。逆にマイナスは測りやすい。犯罪歴やクレジットカード会社のブラックリスト入りなどしていれば、それは社会資本の損失である。

②負債

負債とは、あなたの金融資産を定期的に奪っていくものと理解して頂ければ良い。一般的には以下のようなものが挙げられる。

負債の種類
  • 住宅ローン
  • 銀行ローン
  • クレジットカード
  • リボ払い

負債は少ない方がもちろん良い。できれば限りなく少なくしたいところだ。

とはいえ、自分の資産状況を把握し、コントロールすることができるのであれば、負債も大いに活用することができる。

③純資産

純資産は家計で言う利益(あるいは損失)と同様で、資産の総額から負債の総額を差し引いたものである。

言わばこの金額こそがあなたの蓄えであり、自由に使える金額と言って良い。

年齢が低いと資産に対する負債は大きく、純資産がゼロに近くなるのは当然のことである。しかしライフイベントに伴いあなたの純資産も増える(増やさなれければならない)し、上手くコントロールする必要が出てくる。

4.想定されるライフイベント

それでは時系列に沿って、あなたのライフイベントを簡単に見ていくことにしよう。

「子」会社の誕生(あなたが生まれ、育てられる)

あなたが生まれてまもない頃は、基本的に親があなたの家計を管理することになる。

次第にお小遣いを貰い、あなたはそれで家計のやりくりを覚えるようになる。しかし大半の支出や負債(学費など)は親が代替して支払っているため、あなたはそれに気付かないまま生活していくことになるだろう。

成長とともにお金の有り難さを実感し、親会社に配当を要求することになるだろう。

親会社からすれば子会社を持つ理由は、愛情であったり遺伝子からなる本能であり、資産上では何のメリットも持たない。しかしながら小会社の飛躍を期待し、せっせと投資していくことになる。

独立し、「自分」会社を設立(親離れ)

早い人であれば高校卒業時に「親」会社から強制的に独立させられる。自分の資産管理を任せられることになり、「子」会社を手放した「親」会社はひとまず安心するだろう。

ここから資産の管理は非常に重要になってくる。真っ先に負債が積み上がるからだ。主に学費ローンや家賃があなたの資産状況を悪くし、純資産はかけらもなくやりくりに苦労するだろう。だからといって大卒という強大な人的資本を失うのも分が悪く、ここであなたの投資力が試されることになる。

就職し、金融資産への変換が開始

大半の人は就職し、人的資本から金融資産への変換が始まる。

それなりに家計の余裕は出てくるだろう(適切な家計管理ができていればの話である)。しかし積んだ負債の消化は直ぐには実行できず、苦難の道を歩むことになる。

ここでも全体の負債状況がどれくらいなのかを把握しておくことが非常に重要であり、それが将来に備える家計管理に繋がってくる。また人的資本の形成も一貫して継続していく必要がある。

その意味でも就職活動は、こと日本においては極めて重要なイベントであり、普通の人間なら1番の勝負時になると言っていい。

結婚というM&A

あなたが人に恋をし結婚することになれば、会社で言えばM&A(吸収・合併)となる。

以前であれば男性が持ち前の資産力を活かして女性を吸収する形が主流であったが、それはもう時代遅れ。女性のバランスシートも徐々に健全化していることから、最近では合併という方が適切であろう。

ここでは企業と同じく、相手のバランスシートはきっちりと見極めて頂きたいと思う。

もしかすると相手のバランスシートが悲惨かもしれない。多額の負債を抱えてこんでいるかもしれない。バンドマンのような将来性(人格資本)の無い相手かもしれない。何も考えずに合併すると、その負債を自分が背負うことになるので気をつけよう。

これからの人生を左右するため、甘く見ずに徹底的に分析することをオススメする。

早期リタイア(退職)を見据えて運用するなら、重視すべきは相手の家計ではなく資産である。金融資産か人的資本が絶大であれば、(金銭面では)結婚に苦労しないだろう。

「家族」会社の誕生

結婚すなわち合併することで、あなたは2つの資産を持つことになる。

管理方法は人それぞれであるが、いずれにせよ相手の資産状況が見えないと何かやらかした際にとばっちりを受けることになるので注意して欲しい。

最も優れた運用方法は「共働き」である。最強は「生涯共働き」である。自分が専業主婦になりたいなら、それに相応する極めて貴重な人材を確保し無くてはならない。

「子」会社を設立する

生まれた当初あなたは「子」会社であったが、今度は立場が逆になる。あなたが自分という「家族→親」会社だけでなく「子」会社まで運用・管理する立場になる。

ここで親の苦労を思い知り、親への感謝が増すことだろう。金銭的にメリットのない子を管理することがどれだけ大変か痛感するだろう。

つまり自分達の退職資産を考慮しつつ、「子」会社を運用し無くてはならない。自分達を犠牲にすることになるかもしれないが、そうなると退職は不可能で「生涯現役」生活があなたを待つことになる。できればそれを決断せざるを得なくなる前に、何らかの対策を講じて欲しいところである。

「お金」を知らないわがままな「子」会社は、しきりに配当を要求してくるだろう。これがどれだけ苦しいか、理解することになるだろう。

会社の社長の辛さも、少しは分かるようになるかもしれない。従業員数が、そのまま子供と思えばいい。「給料上げろ」がどれだけ苦しいか理解できただろうか。

「子」会社の独立、「家族」会社の退職

手塩にかけて育てた「子」会社がようやく独立し、会社も退職した。後は悠々自適に生活するだけ。となれば非常に嬉しいが現実は甘くない。

このフェーズに達すると、あなたのバランスシートは上図のようになっているだろう。

人的資本をほぼ金融資産へ変換し終え、退職と共に社会資本も減少した。ローン等の支払いもほぼ終了し、負債は著しく減少した。

見るべきは数少ない年金、貯蓄してきた年金・退職資産という金融資産の総額が、あなたの平均余命とそのリスクにかかる支出に耐えきれるかどうかである。無理ならそれを補うために働くか、投資して金融資産を増やしていくことを検討することになる。

5.想定されるリスク

我々はライフイベントだけでなく、途中で起こり得るリスクにも備える必要がある。

そのためにはどんなリスクが私を襲い、その結果どうなるのかを想定して事前に対策することである。

最悪な事態、起こってはいけない事態に備えてリスクを管理し利益を得ること、これを「ヘッジ」という。自分に起こるリスクを今から想定し、早めにヘッジという考え方を取り入れて検討してみよう。

関係会社が破産する

自分が破産することもあれば、合併「相手」の会社、育ててくれた元「親」会社、あるいは旅立っていった「子」会社が破産することもある。金融資産や人的資本を失った彼らが頼るのは社会資本であり、近くにいる「自分」会社を頼ることになるだろう。

できればそんな事は起きてほしくないが、お金に詳しくない一族には起こりやすいため、想定しておく必要がある。

負債が積み重なる

自己破産の典型例は、「負債」を持ちすぎることになる。住宅ローンや車、育児など想定以上に負債が積み重なると、あなたの資産状況は著しく悪化してしまう。事前にどれだけの負債であれば耐えられるか、長期的に見据えておくことが重要になる。

自分の支払い能力(人的資本)が維持できればまだいいが、それが無くなることもあるから注意したい。

資産を失う

貯蓄だけに頼っている人は、そのリスクを知っておくべきだ。もちろん最低保障は存在するが、金融危機や銀行の倒産が起これば金融資産はたちまち消失し始め、せっかくの蓄えも無くなってしまう。

早めに分散投資を学び、どんな状況にも比較的耐えれるポートフォリオを形成することが合理的な解決策だろう。

負債を抱えた状況で最も怖いのは、金融資産に変換するための人的資本が消失することである。

実際病気や怪我、最悪の場合は死に至ることで人的資本は低下、消失してしまう。解雇や会社の倒産、給料の引き下げも同様であり、近年そのリスクは上昇している。

人的資本が無くなった場合は必ず想定しておいた方がいい。自分が死んだら、パートナーや子はどうなるだろうか。そのために必要なヘッジが保険、あるいは共働きであろう。

社会資本を失うケースもある。これだけが頼りな人は、なるべく人的資本を形成することに努めるかネットワークを複数持つなど、集中して頼らない工夫を凝らすべきである。

資産の消失は往々にしてあり得るが、やはり「分散投資」はいずれのヘッジにも役立つため、早めに準備しておきたいところだ。

まとめ

ここまで「自分」株式会社を設立することの重要さと貸借対照表(バランスシート)がもたらす効果について解説してきた。

まとめると以下のようになる。

まとめ
  • 資産には「金融資産」「人的資本」「社会資本」の3種類がある。
  • 金融資産が少ないからと言って悲観することはない。人的資本を持っているあなたは、あなたが思っている以上に豊かであることを知るべき。
  • あなたの暮らしでは、どんなイベントやリスクが待ち受けているだろうか。そこをしっかりと想定し、ヘッジできる案を検討してみよう。
  • 退職を見据えた金融資産を得ることができる人的資本は持っているだろうか。足りないと考えるならば、生涯に渡って安定的に金融資産を得られるように、自分のキャリアを慎重に形成していこう。

今後の人生をより良いものにするためにも、早めに「自分」株式会社を設立し、資産運用状況の把握・改善を実施してみることをオススメする。

参考書籍

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